動物と一緒に暮らす、母を変えた命の最初から最期まで
幼い頃から動物が好きでした。
庭に遊びにくる猫、旅行先で見かけた鳥、動物園や水族館でしか会えない生き物。
ただ観察しているだけでもとても楽しく、ふれあいイベントは嬉々として参加します。
「犬か猫を飼いたい」という幼い頃からの夢がありました。
実家は母が動物が苦手でどうしても無理でした。
チャンスが訪れたのは一人暮らしを始めた大学生の時。
そこで飼い始めたのは犬や猫ではなく「うさぎ」でした。
これは私が初めて自分でお迎えして飼い始めたうさぎの一生に付き添わせてもらったお話です。
一生のお話なので悲しい部分も含まれます。でも、これが一生であり、命をお世話するということなのです。

- うさぎを飼うきっかけ
- お迎えしてわかったこと
- 東日本大震災を機に実家へ
- 実家を満喫し、母と仲良くなるうさぎ
- のびのびと育ち9歳になったうさぎ
- 何も食べなくなり、ケージからもでなくなったうさぎ
- 命をお世話することは人の命にも影響する
うさぎを飼うきっかけ
大学生の時、一人暮らしはもちろん賃貸でした。
犬や猫は購入時も飼育時もお金がとてもかかることを知っていたので、当時の収入では満足にお世話ができないだろうと思いました。
たくさん調べました。ハムスター、チンチラ、インコなど。
その中で「うさぎ」にとても魅力を感じました。
鳴かない、部屋で完結できる、トイレを覚える…。
2010年代前半は今よりもまだまだうさぎの認知度は低く、生体の値段も高くありませんでした。
ペットショップでの取り扱いも少なかったです。
そんな中で、とあるペットショップで垂れ耳のオレンジ色の子うさぎを見つけました。
ふわふわな毛、丸い黒の目、飾りのような尻尾。一目惚れでした。
抱っこさせてもらい、あまりの小ささと毛のやわらかさに脱力しました。
お迎えする様々な準備はすでに整えてあったので、即座に決定しました。
抱っこできたのは子どもの頃だけだった、と実感するのはだいぶ後です。

お迎えしてわかったこと
名前は「ミルキー」。垂れ耳、オレンジの女の子。
どの動物もそうですが、女子の方が独立心が高く、男子のほうが甘えん坊が多い傾向があります。
一人暮らしで日中空ける時間もあるので、独立心が高い女の子が良いと考えていました。
これはその通りでした。
鳴かない代わりにボディランゲージがすごい
うさぎは通常鳴きません。静かだと思いますか?私もそう思っていました。
ところが、ボディランゲージがすごいです。
怒ると後ろ足を大きく踏み鳴らし、「ダンッ」と音をだします。いわゆる「足ダン」と呼ばれます。
不満や不安があったときに実行されます。これをされると結構傷つきます…。
ケージから出たい時も、中で駆け回ったり、枠を噛んだりしてアピールします。
ミルキーはうさぎにしては大きい3キロくらいまで育ったので、ケージの中でジャンプすると「ドシン」と音が聞こえます。
3キロの米袋がジャンプしていると想像してください。結構ですよね。
駆け回って遊ぶことが大好き
うさぎは1日1回はケージの外で遊んでもらい、ストレスを発散させることが重要です。
それはそれはものすごいスピードで駆け回ります。部屋を何周もするのですが、カーブはよくぶつからないなというような速度で曲がります。
人間側が恐怖なのでぶつかっても痛くないようにダンボールで壁を覆っていました。
そして、そのダンボールでさえも遊びの標的になり、穴掘りの的にされ、齧られて破壊されていました。
出てはいけない場所をガードしておくのですが、人間の想像を超える高さのジャンプ力を発揮します。易々と突破されます。
こうして、試行錯誤し危険を取り除きながらも、毎日飽きないように過ごしてもらっていました。
東日本大震災を機に実家へ
しばらくうさぎのミルキーと私との2人暮らしをしていました。
そこに発生したのが「東日本大震災」です。
日本全国に大きな衝撃を与えました。私も当時ビルの5階で被災し、テレビが倒れていました。電車は止まり、歩いて家まで帰りました。それは明け方まで続き、夜中も多くの人が出歩くという異常な光景でした。幸にして家は無事でしたが、周囲の様々な物やサービスが止まり何とも言えない暗い雰囲気がしばらく続きました。
そんな中で、うさぎと自分の身の安全を考え、しばらく実家で過ごすことになりました。
実家を満喫し、母と仲良くなるうさぎ

冒頭で母が動物を飼うことに抵抗していた旨を書きました。
もちろん、今回も最初はいい顔をされませんでした。最初は。
元々、母は「飼う」ことに抵抗があり「見る」ことは好きな方で動物の番組も笑いながら見ていました。
実家に連れて行った時にも最初は柵越しで眺めたり写真を撮ったりするだけでした。
そのうち、野菜をあげたり、一緒に遊ぶようになり、撫でたりするようになり、どんどん仲は深まっていきました。
ミルキーの方も母がかまってくれるようになり、私よりも母の方が好きなのでは?と思うほどになりました。
広い実家で思いっきり遊び、新鮮で美味しい野菜をもらい、QOLが爆上がりしました。
最初は制限されていた遊ぶスペースもどんどん広がり、最終的には2部屋を行き来できるようになりました。
ごはんも母がにんじんを育て、その葉をおいしそうにモシャモシャとすごい勢いで食べ、デザートに大好きなバナナやりんごをもらっていました。
一人暮らしをしていた人にはわかると思いますが、果物って高級品ですよね。毎日食べるのはなかなかにハードルが高いです。それをしていたので、私より生活のランクが上だったことは確かです。
うさぎと暮らして数年経った母がよく言っていました。
「うさぎだから何でも許されるんだもんね。」
飼うことに抵抗を覚えていた母がよくぞここまで変わったな、と思います。
大人1人の考えを変えることって中々できることではないのですが、言葉を話さないうさぎにこんなにも影響されるとは。
ちなみに、父も同様な上記の言葉を発していたので、両親どちらからも愛されすぎていました。
のびのびと育ち9歳になったうさぎ
実家でののびのびとした生活のおかげか、病気もせず、とても健康に育ってくれました。
お迎えした当時はうさぎの寿命は7歳と言われていましたが、まだまだ元気でした。
今まで病気もしたことないから、長生きするかも、長生きしてねと言っていました。
4月に9歳の誕生日を迎え、夏も終盤に差し掛かった8月下旬のことでした。
ミルキーが急に何も食べなくなりました。
何も食べなくなり、ケージからもでなくなったうさぎ
何も食べなくなることは、機嫌が悪いときに時々あり、その後ごはんは完食していました。
今回もそれではないか、と不安を隠すように家族で話しました。
でも、食べる気配は出てきません。
病院に連れて行き、診察の結果、大腸に腫瘍があり詰まっている状態であることがわかりました。
詰まっているので、食べることができないのだと。
手術をするか、このままにするか判断しなければなりませんでした。
家族で話した結果、どのみち苦しい状態が続くなら少しでも希望がある方の手術にしようという判断になりました。
この時、母は「ミルキーのためなら何でもする」と言っていました。
手術の日までなんとか耐えてもらうことが新しい課題でした。
青汁を飲ませる良いという、お医者さんからのアドバイスをもらいました。
シリンジを購入し口に直接入れ飲んでもらいました。
もう、大好きだったバナナやりんごも食べてくれません。
今、これを書きながらまだとても悲しく、涙が自然と溢れてきてしまいます。
何年経ってもこの時のことは忘れることができません。
夜も自然と誰かが起きてしまい、様子を見に行き撫でる日が続きました。
そして、なんと手術の日まで持ってくれたのです。
朝、病院につれていく時に、いままで動くことをしなかったのが嘘のように走って逃げ回りました。
まだ、家にいたかったのかもしれません。
15時すぎ、手術中に命が尽きた連絡をもらいました。
お医者さんがとても良い方で、こちらの心に寄り添ってくれました。
どうやって車を運転して帰ったか記憶がないと母はのちに言っていました。
その夜は家族全員泣きっぱなしでした。
泣きながらも私はミルキーを最も愛してくれた母に「ずっとお世話してくれてありがとう」と伝えました。
母は「ミルキーに会わせてくれてありがとう」と言ってくれました。
この一言だけで、私はうさぎを家族の一員にしてよかったんだと思えました。
ミルキーが虹の橋を渡るための準備をまた泣きながらしました。
また、夜も誰かが起きてきては撫でました。
ふわふわの毛、もう見えない黒い目、大きくなった飾りのような尻尾。
そこでお昼寝をしているようで、起こせば目覚めるのかと思うほど綺麗な身体でした。
元気で可愛くて愛しくて、大事な家族の一員になってくれたミルキー。
野菜もバナナもりんごもたくさんたべてくれてるかな。
命をお世話することは人の命にも影響する

これを書いていて、涙も鼻水もでっぱなしです。
いつになっても消えることはありません。
悲しいですが、それよりも楽しかった方が何倍にも勝ります。
ほんとうにありがとうというに尽きます。
後悔はありません。
良い言い方が思いつきませんが、良い経験になったと胸を張って言えます。
家族の話題の中心になり、時には癒しになり、たまに怒ったり、でもとても愛しい。
一生私の命の中に宿りつづけますし、家族も同様です。
まだ、母とミルキーのことを話す時に両方とも泣き出します。
良い子だったなあと色々な感情でぐちゃぐちゃですが、すべて良い感情です。
こんなにも私たちの心を豊かにしてくれたミルキーに感謝です。
来世でもまた会えるといいな。
たまには夢に出てきてくれてもいいんだよ。
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